◎ ファンならば誰でも知っている事だが『まぼろしパンティ』には3つのバージョンがある。                 
3つのまぼろしパンティは、それぞれにそれぞれが赴きを異なる。                 
主人公の性格や行動については、それぞれの状況に合わせて多少変化するが、安定した統一感がある。                 
その安定したキャラ『まぼろしパンティ・藤寿々美』を取り巻く状況が大きく変わるのは、最後のバージョンになってからだ。                 
前2つについては、シナリオの練度こそ違えど、さほどの大きな差はない。                 
では、何を以って3つのバージョンに分けられるのか?                 
それはビジュアルである。                 
3つの『まぼろしパンティ』は、まるで異なる作家によって描かれたかの如くその造形にハッキリとした違いがある。                 
例えば、ここで扱う予定の黄緑版まぼろしパンティ。                 
このまぼろしパンティは、3つのバージョン中、最も頭身が高い。                 
他のバージョンが6.5〜7頭身で描かれているのに対して、この版のまぼろしパンティは7.5〜8頭身で描かれている。                 
また、バージョン中にあって極端に筋肉質に描かれながら、一番乳房の貧弱な黄緑版まぼろしパンティは、中学生女子を意識して描かれていたのかもしれない。                 
そう聞けば、さながらアニメの『ルパンV世』の様なビジュアルコンセプトによる違いである様だが、そうではない。                 
ルパンV世の違いは、実際に違うスタッフによって、意図して変更された物だが、まぼろしパンティは、同一の作家(一応)の手による一連の物語の中での違いなのである。                 
そういう意味で『まぼろしパンティ』の藤寿々美は『子猫物語』におけるチャトランに近い存在だと言えるだろう。                 
チャトランが茶虎猫という記号に覆われて、一連の物語の中で活躍した様に、藤寿々美もまぼろしパンティという扮装で自身を覆い、そのビジュアルの変化をファンに受け入れさせた。                 
実際問題として『子猫物語』の中で、あからさまにチャトランじゃない茶虎猫がチャトランとして活躍する多くの場面は皆さんの記憶にも鮮明であろう。                 
しかし、そんな程度の事を気にしていては『子猫物語』なぞ楽しめるものではない。                 
何故なら物語冒頭の川下りの場面にして既に数十匹のチャトランが川の藻屑と化していたからである。                 
ファンとはそんな現実など、薄々気付きながらもノーカンにして、愉快な物語に没頭いなくてはいけない。                 
『子猫物語』上映後、幾度となくムツゴロウ王国のドキュメント番組が制作され、放送された。                 
その中で『あの子猫物語で活躍した名脇役』として、なんとかいうパグ犬が何度も登場した。                 
しかし、主人公であるチャトランはまるで登場しない。                 
その事に誰も突っ込もうともしないし、触れようともしない。                 
あの産経新聞ですら取り上げようとしなかった。(*註1 『子猫物語』はフジテレビにより制作された)                 
もしも、あの当時に『スーパーモーニング』があったなら、鳥越俊太郎が                 
「映画の中でチャトランが痩せたり太ったり、耳の大きさや目の形が変わったり、あまつさえシッポの長さまで変わったりしたのは、きっと撮影のストレスによるものだ」                 
などと、あからさまな嘘で印象操作をしていたかも知れない。                 
そんな訳で、この『まぼろし黄緑館』では黄緑バージョンのまぼろしパンティの魅力を語り、そのビジュアルを可能な限りリスペクトした画像を作成したいと思っている。                 
                                     (了)                 

 
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